2000年9月、私は西インドのムンバイに立って感傷に浸っていました。
インド亜大陸-なんと不思議な響きだろう。
かつてこの広大な土地は独立したひとつの大陸だったという。長い年月をかけゆっくりと北上し、ユーラーシア大陸の一部となり、その名残はヒマラヤに見ることが出来るそうです。世界の屋根といわれるヒマラヤはインド大陸がユーラシア大陸に衝突し隆起したものだそうですが、ヒマラヤから見つかった貝の化石は、この土地がかつては海底であったことを裏付けています。インドが亜大陸といわれる所以はここにあります。
さて、インドには不思議な魅力があります。それは私たちのルーツをここに求めることが出来るからかもしれません。
人類文明の発祥地であり、ゴータマ・シッダールタが悟りを開いた土地-それがユーラシア大陸の南に位置するインドと呼ばれる土地です。
かつて「七つの海を支配する国」といわれた大英帝国のアジアの拠点であり、いまも大英帝国の面影を色濃く残すインド、多様な宗教が混在し、人々の生活の中に宗教が深く浸透しているインド、カーストによる階級制度が織成す独特な社会、富と貧困の共存、牛とコンピュータ、ゼロの発明、あらゆるものが日本とは異なっていました。
実際、ムンバイの地に立ってみて、カルチャーショックを受けました。街は埃っぽく、車がけたたましいクラクションを鳴らしながら行きかう街、歩道のない道路には、貧しい生活を送っているであろう人々が力なく座り込んでいる一方、ものすごく裕福に見える人々が、優雅な生活を送っているのがまざまざと見えます。
貧しい人々が、貧困から這い上がれるチャンスはどのくらいあるのだろうか?人間は本当に平等なのだろうか?人生観が変わります。
日本と同じアジアに属しながら、米国や欧州よりも遠い国、それがインドだと思いました。
インドについてはまた別途書きたいと思います。
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